第5章 されど女は強い ③ くノ一忍法帖 097P
どういう事情であれ、遠い昔の遊廓(ゆうかく)から、今でいう風俗の女、つまり金で男に体を開くことができる女が後をたたないというのは、そういうことなのである。
特に、ある程度の地位のある女性は、ひとつ策略を胸に秘めたとき、自分に自信というものを持っているもので、男の一挙一動に細かく目を凝らし、気を配っているから、男が何気なく言った台詞、ふとした動作の一つひとつをよく覚えているものだ。
一方、男というものは、仕事を離れてなじみの女と逢っているとき、どこかひと息抜いて、無防備なところをさらけ出してしまう不幸な習性がある。
女は、寝物語にトップシークレットを聞き出し、軽い約束を積み重ねていく。
そして、ここぞというタイミングを見計らって突然豹変(ひょうへん)する。
その夜、妙に色っぽく、男に流し目を送りながら、「いいもの聞かせてあげる」と薄ら笑いを浮かべながら、バッグの中からカセットテープをとり出したのだ。
男は思わず、立ち往生するようにして、
続く・・・
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