第5章 されど女は強い ③ くノ一忍法帖 095P
まざまな策略を立てているもので、この不景気にそんなおいしい話を見過すようなことはしない。
いち早く、情報をキャッチしたものだけが、先ず生き残りの優先権が与えられ、次なる攻勢を仕掛けていくというものだ。
そんな中に、業界では後発組であるが、目下売り出し中の先端技術会社の営業部長である、B子さん(34歳)がいた。
「私は本当はエンジニアを目指していたの、でも限界があって……」と遠慮がちに頭を下げる。
その印象は、キリッとした利発な目元と、なんとなく男心をそそるような魅力とは裏腹に、控えめな態度と地味な服装は、一見とても営業マンには見えない。
ある日、商談がキャンセルとなったため、Y男は暇つぶしぐらいに思って、女を食事に誘ってみた。
すると女は、意外とあっさり、「お言葉に甘えていいかしら」と応じてきた。
その日は、気の向くまま二軒、三軒と梯子(はしご)酒をする。
その後も、二人は何度か食事を共にしたが、男はこの女に特に好意を抱いていたわけではな
続く・・・
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