第4章 現代女性の悩み ④ セックスは究極の愛か 073P
から取り出したのが、マンションの不動産登記簿謄本である。
所有者欄は、「木村由美子」(仮名)となっている。が、それ以外の権利関係を記してある乙区の欄には、貸金の担保として、商工ローンやファイナンスの外、その筋と思われる個人名など複数の抵当権が設定されている。
その木村由美子とは、訪ねてきたK子さんであり、能登の小さな漁港の町の出身で、28歳。
薄い化粧がかえって肌の白さを感じさせ、すらりと背が高く、スリムな体形は、女の目にも、ほれぼれしたものを感じさせる。
「やっぱり、そうでしようか。私に、この借金を背負えといっても、とても返せるもんではありません」
社員の説明を聞いて暗澹(あんたん)たる気分に陥ったようであるが、尋ねたい本旨は、このことだったのである。
それにしても、バブル崩壊で地下が暴落した現在、仮にそのマンションを清算しても、こと足りる額ではない。
「弁護士に、ご相談したの?」とおもむろに尋ねると、「なんだか、後ろめたくて」と黒い瞳を潤ませながら、やがて胸のつかえを吐き出すかのように、事情を話し始めた。
K子さんは、コンパニオンのアルバイトをしている時に、あるパ
続く・・・
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