第4章 現代女性の悩み ③ 結婚観にズレがある 071P
いる、しかも、庶民感覚でしかないB子さんにすれば、そんな時代錯誤の価値観を、目の当たりに見るなどは思いもよらなかったのである。
ここで頼れるのは、Y男の毅然とした反発と抵抗である。
そう信じながら、時折横目でチラチラやり心のシグナルを送っても、何の反応も示さない。
黙って下を向いたまま、親の意見にうなずいてもいるようにも見える。
「僕は、誰が何をいおうと、君の生き方に……」
と言ってくれて、二人でしか通じなかった、あの心のメールがいったいどこへ行ったのだろうか。
「ひょっとすると、親と同じように時代錯誤の偏見に、とりつかれているのでは?」
そんな疑念が、B子さんの心中にフツフツと沸き起こってくる。
近頃の若い教師は知識の質問に答えられても、「心の問題には、喜劇や悲劇のような回答しか出せない」と聞いていたが、このことか!
こちらが信じているものが、相手にもある、それが「愛」だと思ったことから悲劇が始まっていたのかも……。
それなら一層、この場で喜劇をやらかして、「殿、ご乱心めされたか?」と叫んでやりたい、そんな衝動にかられながら、彼への気持ちがしだいに冷えてゆくのを感じていたのである。
続く・・・
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