第4章 現代女性の悩み ③ 結婚観にズレがある 070P
が金沢の盛り場にあるスナックで、アルバイトをしていた事実まで密かに調査していたのである。
「水商売に出るような女は……」という一種の偏見であり、母親などは
「経済的ゆとりがあるとかないとか、それが親になくても、女の子は働きに出る場所柄というものがあるでしょう。水商売のホステスなんかの家庭をごらんなさい、躾(しつけ)なんてありゃしない。うちのお嫁さんになる人は、自宅で花嫁修業をしている、生き届いた娘さんに限ります」
と興奮した口調で言い放った。
実は、それは口実であり、反対する本音の部分は別にあったのである。
Y男の家は、この地では代々格式を持つ家柄である。いや、そう信じながら誇りにしてきたのだ。
古い樹齢の庭木や、老朽化した杉皮葺きの小屋根の門構えなどに、その面影が残っているようであり、なんでも、大事に保存されている古文書によれば、明治維新までは「前田藩」の重鎮であった加賀八家の末裔(まつえい)であったそうだ。
ところが、なぜかその後の系譜については十村家の束ね役から庄屋になったりして、果たして、武士か農民の出か?あやしげなところがないでもない。
それはともかく、現代教育を受けて
続く・・・
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