第4章 現代女性の悩み ① 愛とは忍耐と苦痛 062P
さん(27歳)が、移り住んで3年目を迎えた。
夫とは、都会の同じ会社に勤める職場結婚で、子供にも恵まれたが、しばらくして、夫から、長男で家を継ぐためと言い出されて、日本海に面した雪国にやってきたのである。
しかし、夫のガイドブックのような説明から想像していたイメージと、現実はあまりもギャップがあり過ぎた。
周りにそびえる深い山々や長い雪の下に閉じ込められる生活は一層孤独感を誘い、周りの気遣いも、かえってわずらわしさにしか感じなくなる。
特に、A子さんのように、長く都会のリズムで生活してきたものにとっては、この環境の違いは、情緒までを不安定にさせ、美しい自然も、やさしい人情も、そして温かい風土も、すべて閉鎖的であり、自分を「孤独」に追い込む以外のなにものでもないのである。それを、夫の方も、よっぽど機敏に感じとってやり、本音で受け止めてやらないと、夫婦の信頼関係は根底から失われてしまうというものだ。
しかし、夫にはそれが欠如していた。
A子さんの言動を、月並みの「わがまま」
続く・・・
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