第3章 移り行く女性像 ⑦ 新しい時代 056P
大都市に向けての集団就職が本格化した。
男子は、都会の町工場、店員、印刷工、クリーニング店などへ、女子は大半が紡績工場であった。
しかし、「都会には夢がある」と信じた少年少女らに、必ずしも憧れた夢どおりの世界が待っていたのでなく、随分つらく寂しい思いをし、挫折し転落していったものも少なくなかったのである。
♪どこかで、故郷の香りを乗せて
入る列車の、なつかしさ
上野はおいらの、心の駅だ……
そんな時、日本全体に春の花を咲かせるような明るいニュースが流れた。
昭和三十四年、皇太子妃(今の皇后)の御成婚であり、全国にミッチーブ一ムが沸き起こり、民間女性と皇室との壁が外されたのだ。
今日の、「皇后様」から親しく「美智子様」と呼ばれる、新しい形での象徴になったのである。
この頃、「黒ゆり」が石川の県花に指定されるや、若い乙女の恋のシンボルとして、
♪黒ゆりは恋の花、愛する人に、捧げれば
二人はいつかは、結ばれる……
の歌が流行した。
こうして、女
続く・・・
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