第3章 移り行く女性像 ⑦ 新しい時代 054P
は意気消沈している男性を尻目に、新しい社会に希望を持ったのである。
ラジオは、そうした国民の生の声とともに、大衆向けの歌や娯楽をどんどん放送してくる。
女性の服装も、あのモンペ姿の憂鬱(ゆううつ)な時代が過ぎて、アメリカ的に赤、青、黄の目の覚めるような洋服を着だし、行動的になった。
昭和27年、NHKラジオ・ドラマで、「君の名はと、たずねし人ありその人の、名も知らず」の音声が流れると、女性浴場が”空”になったというエピソードがある。
同じ頃、子供らも
♪ヒャラーリヒャラリコ
ヒャラーリヒャラレロ
誰がふくのか、不思議な笛だ……
と「笛吹き童子」のメロディーが流れると、みんなラジオの前に釘付けになったものだ。暫(しばら)くして、ラジオの前でわくわくドキドキしていたものが、動く映像となってスクリーンに現れた。
女性たちは自分の夢をあこがれのヒロインに託し、その「君の名は」のドラマでヒロインを演じた、マチ子役の岸恵子のショール巻きが一躍大
続く・・・
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