第3章 移り行く女性像 ② 民謡の世界 037P
た、鍬(くわ)打ち、種蒔き、稲刈りなどの素朴な動作を、格調高いものにしている。
女は、両手で蛍をそっとやさしく包み込むような仕種(しぐさ)を、左右の腰のあたりで演じ、足元に流れるしなやかな指先で示すような所作があるかと思えば、袂(たもと)を片手に添え、持ち上げる仕種などに、優美かつ濃(こま)やかな所作が織り込まれており、実に上品な色気がある。
男が働きものの男ぶりを誇示して見せ、女がめ艶姿(あですがた)で舞って、お互いに熱い視線を注ぎ合いながら……。
三味線の弾くような音にまじって、哀調を帯びた胡弓のすすり泣く音色が、ふんわりとした恋の雰囲気を盛り上げる。
♪見たさ逢いたさ、想いがつのる
恋の八尾は、オワラ雪の中
春風吹こうが、秋風吹こうが
あんたの恋風、身についてならない
キタサノサー、ドッコイサノサ、ーサ
かつては、暗い坂道を踊りながら、町の人たちだけの楽しみであったが、今ではこの期間中、三十万人ともいわれる観光客が訪れ、おわら節にのった独特の踊りに酔いしれるという。
続く・・・
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