第2章 石川の女性 ④ 加賀の特性 029P
神々が宿るという白山連峰の雄姿に打たれながら、気高く理想を求めて、改革精神が息づいているところである。
昔は、橋立や安宅などの港から北前船を大海に走らせ、海運史に一時代を画し、高度経済成長で観光ブームが訪れると、山中、山代、片山津、粟津の四大温泉で形成される加賀温泉郷は、関西の奥座敷といわれて賑わった。
今は国際化に向けて小松空港が海外に視界を定めるなど、常に先見性をもって時代を切り開いた活気が見られる。
能登が秘めた粘り強さであれば、金沢は殻に嵌(は)まった強さがあり、ここには外に向けて奪い立つ力強さがあるような気がする。
その印象は、まるで米谷一族の軍資金で、大同のチェーンとコマツのキャタピラーをつけた戦車が、険しい白山峡谷を切り開いて、力強く押し広げるような逞(たくま)しさである。ところが、「攻めに強しは、守りに弱い」という脆(もろ)さがあり、しかも、改革は一種の冒険で、そこにはリスクが伴う。
北前船が航海で予想しない気象に遭遇して沈没するように、今まさに押し寄せている不況という嵐に喘(あえ)ぎながら、最も先行き不透明
続く・・・