第6章 こんな女は問題だ ④ 安易な借金癖 140P
い者に国がしてくれる手続きなのに、なぜ、そんなに金がかかるのですか?」
多分、ここに来るまでにどこかで、多少の入れ知恵を身につけてきたのであろうが、愕然とした様子がありありと見える。
「まさか、あなた自分自身で破産申し立てする気じゃないでしょうね」
「自分で、それを考えているの、駄目でしょうか」
「理論上は、できないことはないけど、自分がどこにどれだけ債務があるのか分からなければ、心当たりを直接調査して借金の存在を確認し、破産係の裁判官に納得してもらえるような申立書や資料を整えたり、けつこう素人では難しいと思うわよ」
「えーっ、あの嫌な業者とまた顔を合わせなければならないのですか」
よっぽど彼女はこれまで厳しい取り立てを執拗(しつよう)に受け、惨めな思いをしたのであろうか、視線を伏せてしまった。
このまま、彼女を落胆させては気の毒である。
「あなたの場合、無一文だし、これといった資産もないから、これが『破産原因』といって、裁判所としても『破産宣告』しなければならないの」と勇気づけると、少しは表
続く・・・
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