第5章 されど女は強い ⑥ 暴力に耐えて 115P
…」という調子で、暴力を振るったのである。
T子さんの心は収まるはずがなく、気まずい冷たい空気が何日もよどんでいた。
かといって、既に両親もなく、兄夫婦が細々と生活している実家に、おいそれと子供を連れて転がり込むことはできない。
その様子を見るに忍びなかったのか、長女までが進学をあきらめ、家計を手助けすると言い出し、二人は抱き合って夜を泣き明かしたという。
しかし、W男はそれを逆手にとるようにして、決して妻が出て行かないと判断し、家をあけ、気のむくまま帰れば、聞くに耐えない罵言雑言(ばりぞうごん)を浴びせた。
また、暴力も胸倉をつかまえ、頬(ほお)をたたき、足で蹴りあげるなど、次第にエスカレートしていく。
T子さんは突き上げてくる悔しさと悲しみをぐっとのみ込んで、子供たちと布団をもぐり込むのが精いっぱいだった。
そんな地獄のような生活に耐えながら、T子さんの心に、こんなことでは自分も子供も一生が駄目になる、「いつか夫との生活を清算し
続く・・・
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