書籍紹介

第5章 されど女は強い ⑥ 暴力に耐えて 111P

水源を霊峰白山に発し、尾添加、瀬波川、大日川、直海谷川と合流、鶴来より扇状地に出て西流し、日本海に注ぐ、石川県第一の河川手取川。

県名もここから由来し、米どころ石川の名を全国に広めたくれたのも、この川のお陰である。

しかし、歴史を溯(さかのぼ)れば、この川は大きな恵みを与えてくれる一方、大雨のたびに暴れ川となって、周辺の集落の幸福を奪い去ったという。

この一帯に住む人々は、その苦汁と辛酸を何度も何度もなめさせられながら、文字通り心血を注ぐ負担を耐え抜いて、今日のようにはるか遠くに望まれる山並みまで、まぶしく広がる恩恵の地に変えたのである。

今、この川べりに立って眺めると、川に沿った堤防上にアスファルト道路が整備され、どの車もスピードを上げて走行していく。

それはまるで、先人たちの尊い犠牲を横目で眺めながら、静寂な田園風景に、今ある自分たちの幸福があたかも当然のようにして通り過ぎていくようにも見え、この川の悲哀の歴史を振り返ってみるような、そん

続く・・・

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