第1章 北陸の女性 ② 歴史が育んだ女性像 011P
逸話に出てくるまつは、平素しとやかで、かいがいしく夫につかえ、さらには美貌の持ち主であったとされているが、後々の男衆が自分の女房と見比べながら理想化したもので信用し難い。
同性の目から見れば、一般にそんな女性というのは、女同士の嫉妬心をかき立て、敵対しても心許すはずがないのである。
むしろ、男には可愛げがないが、同性に対しては包容力があって、頼りがいがあり、いざとなれば、襷掛けの長刀姿で、「戦じゃ、戦じゃ」と陣中を駆け回る男勝りの、体形的にはどっしりした女丈夫型、その方がいかにもまつらしく、親しみが湧くというものである。
そう思うと、NHK大河ドラマも「松嶋莱々子」さんより、肝っ玉母さんの「京塚昌子」さんのようなタイプがハマリ役だ。
今は、遠い歴史上の人物となったまつであり、そのまつを印象づける「良妻賢母」という言葉も遠くに押しやられたが、しかし、北陸女性の鑑として、大河ドラマでどんな形で演じられるか、ますます楽しみである。
続く・・・
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