第5章 されど女は強い ⑤ 結婚に定年はない 109P
朝まで眠れない夜が続くこともある。
そこで、ハツさんは思い切って決心した。
自ら個となる意識を変革して、他人と隔絶した生活を打開しなければ……。
それからというもの、積極的に人との交流に努め、仲間をつくることにした。
やがて、シルバー民謡教室で知り合ったメンバーで、同じ独居老人のTさんと、お茶飲み友達から、お互いに「この人のおかげで、寂しい思いをせずに、気持ちが晴れる」としだいに意気投合するようになった。
そして、二人は一緒に寄り添い、ともに支え合って生活すれば、もっと「幸福」に、いや「仕合わせ」になるであろうと、思い切った決心をしたのである。
この「仕合わせ」には、これからの人生を互いに仕え、支え合っていこうという願いが込められているのである。
この様子を知った民謡仲間も、「すばらしい老夫婦になるだろう」と、わがことのように期待し励ましてくれた。
しかしながら、二人の意気投合には壁があった。
双方の子供たちの壁であり、ご多分にもれず「世間体が悪い、遺産が奪
続く・・・
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