第5章 されど女は強い ⑤ 結婚に定年はない 107P
と睨(にら)むから屈(こご)んでいる、そう思ってしまいがちな時代になってしまった。
せめて元気なうちは外へ出て、と勇んでみれば、走る凶器が信号に気をつけても、老人を見落とすのか、容赦なくぶつけてくるので、高齢者の死亡事故がどんどん増えるばかり。
それじゃ、高齢化社会向けの「IT情報化時代」などと掛け声はいいが、老眼鏡が年々厚くなり、手が震え出した者に今さら……、果たして「ウイルス」に感染しても高齢者保険を考えてもいない。
こうして、年老いたものは、みんな不安で寂しく、涙とため息ばかりで、家で温かく向き合ってくれるのは、犬のハチ公と猫のタマだけである。
統計を見ると、わが国では老年期の自殺・精神病は、配偶者のいない人が圧倒的に多いという。
欧米では、「不安や孤独に満ちた老後こそ、二人で過ごすべきだ」との声が定着しているが、さて、日本の老婚といえば、それに比較して何十分の一という低さである。
その効用が絶対に大きいのであるが、日本では戦後教育を受けたものら
続く・・・
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