第5章 されど女は強い ④ セクシュアル・ハラスメント 102P
もう先々のことより、現状をいかに生き抜くかということで、事務量の合理化とともに、余剰人員のリストラをしなければならない。
そこで、会社のトップは、女性社員の中で一番年長のA子さんかB子さんに退職してもらうしかないと判断して、人事を担当する総務部長にその旨調整を指示した。
この総務部長は、地方銀行を定年退職後、その実直さを買われて、再就職した人物である。日頃、堅物だけにB子さんには快く思っていないが、ここでは等距離に接し、平等に扱わねばならない。
そこで、二人から意見を聞くことにした。
その回答は、A子さんは「B子さんの仕事の分まで、責任をもってこなせます」ときっぱり言い切った。
ところが、B子さんのほうであるが、思いがけない発言したのである。
社長と姻戚関係に当たる専務から、セクハラを受けていたこと、それもこと細かに具体的に、そのうえ、最悪の場合は「訴える」と言い出したのだ。
総務部長は、思わず老眼鏡を床に落すほど愕然(がくぜん)とした。
いずれにしても、
続く・・・
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