北日本新聞「24時間しごと時代」に掲載されました
双眼鏡、帽子、無線装置、小型カメラ、サングラスなどの小道具に加え相手を思いやる心。これが富山市梅沢町、桂木紀子調査事務所の七つ道具。
夕闇が迫り会社員らが家路を急ぐ午後5時、調査員らの仕事が本格化する。同事務所への依頼は浮気など素行調査が中心。尾行、張り込み、聞き込みをし、手のひらに収まる小型カメラで現場を押さえる。
調査が終わるのは午前一、二時。車の中で徹夜をすることもしばしば。同事務所には女性十人を含む十四人の調査員が待機、依頼者からの相談にあたっている。
二、三年前までは夫の浮気調査が大半だったが最近は「妻の外泊が多い」「妻の帰りの時間が不規則だ」と、夫の依頼が六割を占める。「女性が控えめであった時代は終わり、自ら行動する時代になった」と桂木さんは分析する。
七十歳以上のお年寄りの依頼も年々増加している。
人生の哀歌を見てきた桂木さんは「泣きながら訴える依頼者に少しでもこたえたい。謙虚な気持ちを常に持つように心がけています」と話す。
金沢市へ車を走らせていた桂木さんに無線連絡が入った。腕時計は午前零時を指している。