第7章 女の目から見た男たち ⑤ 古くて新しいもの 177P
分も聞いていなかった。……耳が半分遠くなったからである。
ところで、不思議な現象であるが、古いものを捨て去り、新しいものを求める風潮のなかで、最近の男性に若いのか年寄りなのか、区別のつかないのを多く見るようになった。
遺産相続問題になると決まって昔の家族制度を持ち出すし、夫婦トラブルでは暴力で片を付けようとする、あるいは離婚になればなんやかんやと重箱をほじくるようにしてイチャモンをつけ、とどのつまりは裸で追い出そうとし、子供の養育費の出し渋りにかかる。まるで時代の逆行思考というもので、昔の武士とかサムライのような、「如何(いか)なる場合にも、結果に対して平気で死ねる」とまで言わないものの、せめて男なんだから、結果のすべては自分で負うぐらいの気概を持ってほしいものである。
そんなことを考えると、「古い」には男として学ぶ極意があり、それを「新しいもの」として持ち続けることでなかろうかと思うのである。
続く・・・
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