第5章 されど女は強い ④ セクシュアル・ハラスメント 105P
い分かるだろ」
などと愚痴を交えて呟き出したのである。
こうして裁判ざたにはしないという結論が出たとなれば、ビジネスでは算盤(そろばん)勘定で、もはや意地や面子を張っている場合ではない。
なんとか公になるのを避けながら、プイッと横を向くB子さんを苦々しく説得し、謝罪をしたりして、結末は実質示談金であるが、退職保障金という名目で高額な金を支払い、解決に持ち込んだのである。
話を元に戻そう。こうしてA子さんも、そしてB子さんも、それぞれに生きる選択肢を見つけ、行使したのである。しかも、ある意味では女性ならではの方法で的確に……。
それから暫くして、社長室に社長、専務そして総務部長の三人が顔を揃えた。
その三人とも、男なるがゆえに、それぞれに女房や愛人そしてセクハラなどと、女の苦い体験やしがらみを思い出しての以心伝心というものであろうか、「たかが女、されど女ですなぁ一」と同時発声してしまい、思わず顔を見合わせたものの、笑うにも笑えないバツの悪い雰囲気であった。
続く・・・
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