第4章 現代女性の悩み ① 愛とは忍耐と苦痛 063P
「贅沢(ぜいたく)」「身勝手」としか感じていなかったのである。
A子さんの心中に、「愛だの、恋だのと言っておられるうちが花だ。そんな時期は、あっという間に過ぎてしまう」そんな実感が、ひしひしと伝わってくる。
雪解けとともに、解放されたようなして、A子さんは金沢に勤めに出た。
育児にも手がかからなくなったので、姑に見て貰うことにした。
この山々にちらほらと紅が色づくころ、A子さんも仕事に慣れ、商品納入会社の営業担当をしていた、K男(42歳)を意識するようになった。
俳優の柴田恭兵によく似た都会的なセンスと知的な雰囲気の魅力に、失われていたものを取り戻すかように、しだいに目で迫うようになっていく。
やがて、二人は深い仲に陥る。
A子さんによれば、初めに誘いをかけてきたのは、K男の方だというが、どちらが誘ったにせよ、この際さして問題ではなく、K男には、名古屋に妻子がいたので遊びのつもりだったし、A子さんもそれを承知していたのであるから……。
こうしたA子さんの障害のある恋の炎とい
続く・・・
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