第4章 現代女性の悩み ① 愛とは忍耐と苦痛 061P
「しらやまさん」と親しく呼ばれている、白山比咩神社の神様は、男女が仲むつまじくお参りすると、嫉妬して仲を引き裂く、という云い伝えがあるという。
まさか、霊験あらたかな神様が、そんなヤボなことはしないであろうから、きっと昔は神殿に着飾って参拝したり、婚礼できるのは一部の階層であり、周辺の山で暮らし進物さえもままならない貧しい者らの、妬(ねた)みの声がそう伝えられてきたものと想像しても不思議ではない。
養老元年(717)泰澄大師が白山を開いて以来、この神社のある鶴来町は、白山門徒の門前町として発達した。
その雰囲気を残すように、今でも旧街道と呼ぶにふさわしい、町を縦断する中央通りには、両側に黒塗りの板壁と格子戸のある商家や白壁の町家が軒を並べている。
その中には、参拝客らを相手に、酒を売り繁栄したのだろうか、有名な酒造の土蔵が、ひときわ昔ながらの風情をとどめている。
ここから、国道157号を南下しながら山深く進んだところに、手取川を背面にした小さな集落がある。
そこへ、都会からA子
続く・・・
«前へ「第3章 移り行く女性像 ⑦ 新しい時代 060P」 | 「第4章 現代女性の悩み ① 愛とは忍耐と苦痛 062P」次へ»