第2章 石川の女性 ② 能登の特性 024P
楽をさせるほど、かか(妻)がたくましく働く」という意味であり、悠長な専業主婦なんかやっていると、「甲斐性なし、横着もん」と見られるという。
例えば、輪島の海女や朝市の女たちをはじめ、寒気に危険と背中合わせの岩ノリを採る主婦やつい先頃まで見られた姑や嫁らが一団となった集団出稼ぎなど、その姿を見るにつけ聞くにつけ、ととが海の漁師なら、かかは陸の漁師と呼んでもおかしくなく、それらは、「内助の功」という紋切り型の表現では言い尽くせない。
そこに生きる能登の女性の美しさは、加賀や金沢とは全く異質な、海鳴りの上にしっかりと根を張り、手ぬぐいを被りモンペ姿の、誰もがなつかしい故郷の「かあちゃん」を思い浮かべる、ほのぼのとした温かさにあるといえないだろうか。
そう思いつつ、輪島の朝市通りを歩いていると、前を行く観光客が「残しておきたいねー、能登の生活文化を……」と囁いているのが耳に入り、そして、その後方から、「能登はいらんかいねー、買うてくだ、安いぞね」と朝市のおばさんの、そんな呼び声が聞こえてきそうである。
続く・・・