第6章 こんな女は問題だ ⑤ 料理をしない女 148P
がなく、まさにその証明であろうと思う。そう考えれば、女が天性の優れた技を使って、男に食事という愛を提供する、その見返りで男から愛を求めることに、何の異論があろうというものだ。
それはまた、足し算と引き算のバランスでもなく、夫婦双方がどのような状態で、どうして食べたかが問題であり、「うまいから美味(おい)しいのでなく、美味しいからうまいのである」という価値観の問題である。
もっとも、夫婦が仲良くやっておれば、なんでも美味しいものであるが……。
ところが、それを認めなくなったのが、最近の風潮である。
すべてが合理化に押し流されてしまって、家庭生活にあっても台所という存在すらだんだん失われていく。
そうなれば、女たちの手抜きが始まるのが当然で、最近は若い夫婦が市販の、それぞれ好きな弁当で食事をすることさえ違和感がなくなっているらしい。
それは、確かに手間が省けて便利であろう。が、私から見れば、夫婦が薄氷の上を歩いているようなものであり、いずれ、「食べものの恨みはおそろしい」という結果を招いたとしても、文句を言わないことである。
続く・・・
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