第6章 こんな女は問題だ ⑤ 料理をしない女 146P
は、日本人はかくも食に飢えているのか、とうんざりするほどである。
いくらブームといっても、戦中、戦後の食糧難を体験した私には、人気店に押しかけ並んで空席待ちをする姿が、列をなして配給米を買った情景を想像し、グルメを求めて各地に食べ歩くなどは、「買い出し列車に乗って、闇市を徘徊(はいかい)する」そんな暗いイメージが付きまとって、とてもそんな勇気は出ない。
それに、食通か評論家かよく分からないけれど、あの歯の浮いたような食評なんか聞いていると、まさか家庭の団欒(だんらん)でも、
亭主「おい、この焼き魚は火が通ってないぞ」
妻「新鮮で素朴な、故郷の風味なのよ」
息子「硬い肉だなぁー、喉(のど)に通らねぇや」
妻「舌ざわりに抵抗感を持たせたの、じっくりとロに含めばコクがある……」
娘「あら、このお味噌汁はお塩がきいてないジャン」
妻「お口に水々しい涼しさの味付けをしたの、マロやかにね」
てな具合で、訳の分からないことを言いあっているのでは?なんてひねくれてしまう。
その一方で、まともに食事や料理を作らない、あるいは作れない娘さ
続く・・・
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