第6章 こんな女は問題だ ⑤ 料理をしない女 145P
きだろうか。
文字通り女の「お勝手」が許される場所として、どこの家でも、その出入りロとなる勝手口というものが造られていて、悲喜こもごもの生活情報がそこから出入りしながら、女同士の連帯感やつながりを深めていた。
例えば、冠婚葬祭には白いエプロン姿の女衆が「流し前」といって、料理をつくる共同作業が行われ、腕に自信のある古手が水加減や炊き方を伝授し、学ぶ若手らは土地流の食べ物やしきたりを身につけていく。さながら土着の料理教室であったり、嫁いだ娘や若い嫁らが泣きながら出たり入ったりして、たくましく妻や母となるのも、そこからであった。
そこに、うっかり男衆が立ち入ったり、覗(のぞ)いたりしようものなら、口うるさい女房たちからどやされたり、蔑(さげす)まれるのがおちで、暗黙の「男人禁制」になっていたのである。
時代が移り変わり、近代建築構造に台所と居間が区別がつかなくなり、かつての勝手口というものも、すっかり見ることがなくなってしまった。
料理や食事の様相だって変化した。
テレビや雑誌などで、これでもか、これでもかで、その過熱ぶりに
続く・・・
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