第5章 されど女は強い ② 女はしたたか 087P
能登半島の最北端に位置する珠洲市は、県内では最も過疎化の進んでいる地域であり、市制でありながら、その人口は制度の最小限を大きく下回る約二万二千人であるという。
今は、政府が後押ししている「市町村合併」には、一番関心を抱いているところの一つであろう。
その過疎化対策として、現在、北陸・関西・中部電力の原子力発電所の誘致を推進する声と、これが自然破壊であると反対する声とが、町を二分している難しい問題を抱えているが、いずれにしても漁業や農林業では先行き不透明であり、何か打開策を求めないと、若者たちはこの町を捨てるように、どんどん去っていくことだけは間違いなさそうだ。
残された者たちの高齢化が進み、その一部は知恵を絞って、上戸という町の丘陵で林檎栽培を営んでいるが、その地形が林檎生産地の「津軽」とよく似ており、この地の最高峰宝立山が八甲田山で、そこから一望できる飯田湾が陸奥湾であり、澄んだ日本海には漁船の浮かぶ姿が……。
そして、昭和30年代に、津軽の若者たちが就職列車に乗って、集団で都会に
続く・・・
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