第5章 されど女は強い ① 絶望から立ち上がる 083P
ているのでは?と、何かと気にしながら、遠慮がちに働く毎日、そんな時に出入り業者の二歳下の男と恋に落ちた。
この際、恋愛のいきさつなどはどうでもよいが、結婚話の方はとんとん拍子に進み、挙式の日程も決まって、仲人には会社の上司が快く引き受けてくれた。
お喋り好きな、若い女子社員らが、「みんなで何をお祝いしようかと相談しているの。希望があったら遠慮なく言ってちょうだい」と明るく祝ってくれる。
ところが、全く予期せぬ事件が発生した。
夜遅く、突然Y子さんのアパートのドアを激しく叩き、女の怒鳴り声がする。
今頃、誰が?一瞬不安を覚えながら、恐る恐るドアを開けた。
すると、そこには茶髪の崩れた格好の女が立っている。
そして開口一番その女が
「あんたやねっー、うちの人を盗った泥棒猫は」
とヒステリックに叫んだ。
思わず立ちすくんだY子さんに、茶髪の女は、まるで機関銃のように、「うちは、あの人の子を孕(はら)んでいるのよ。今に見ていろ、あんたなんかメチャクチャにしてやるから。この糞ババァー」と矢継ぎ早に悪態をついた。
Y子さんは愕然(がくぜん)として、
続く・・・
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