第4章 現代女性の悩み ④ セックスは究極の愛か 072P
能登内浦の九十九湾の入り江にある小木港には、かつて北海道から太平洋までサケ、マスを求め、さらに、日本海一円にイカ釣り漁をする船団の基地として、湾内はその船影で埋もれていたという。
急速冷凍庫のない時代は、あまり豊漁が続く時は、文字通り捨て値同然での相場で、せっかく捕った魚を再び沖に捨てたともいう。
人手が足りなくて、都会に出た若者がUタ一ンしてきた。
それもこれも聞かされる話は、そう遠くのものではない。
しかし、現在は二百カイリ漁業水域など、さまざまな規制で働き場を失ったり、せばめられたのであろうか、船影もうすく波静かな光景が、かえって寂しさを感じさせる。
その港の埠頭に、五十を半ば過ぎたであろうか、白髪混じりの男が一人、明日の漁を気にしているのか、それとも都会に出た娘の行く末を思うのか、海の遠くに目を注いでいる……。
社員が出勤して慌ただしい朝の早々に、なんの連絡もなしに、「あのう、見ていただきたいものがあるんですけど」と突然若い女性が訪ねてきた。
青ざめた表情からも窺(うかが)われるが、だいたいこのような来客は、切羽つまった深刻な問題を抱えているものだ。
そして、バッグ
続く・・・
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