第4章 現代女性の悩み ② 結ばれない愛の運命もある 065P
津幡町は、古くから加賀、能登、越中を結ぶ交易の要所であり、旧市街の中央に、運河のようにゆったりと流れる津幡川に沿って、その面影を残すように、古い造りの商家であろうか、大きな屋根瓦の佇(たたず)まいが見られる。
町のシンボルである県森林公園の緩い山並みが、東に向かって徐々に標高を増していき、一段せり上がったところが、あの源平合戦で名高い倶利伽羅峠である。
つい最近、加茂というところで発見された”お触れの木板”によって、奈良・平安時代から、この地が中央政府の律令によって、繁栄していたことが明らかにされ、歴史とロマンを感じさせる町でもある。
この街の中心に架けられている「おやど橋」は、昔は三国を往来する旅人の橋渡しとなる、文字通り人と人との懸け橋であったが、無情にもこの川が時々牙をむく悪癖があって、橋を度々押し流してしまったという。
その地に生まれ育ったという、M子さん(25歳)は、いかにも良家の出らしく落ち着きがあり、利発そうな感じの女性である。
親同士が決めたというものの、まんざらでもない婚約者がおり、近
続く・・・
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