第3章 移り行く女性像 ⑤ 戦中期 048P
れたくらいで、ギャー、ギャー騒ぎ立てる女らには、想像すらできない場面であろう。
やがて、戦局は昭和12年に日華事変、16年の太平洋戦開戦へと日々その苛烈(かれつ)さを増していくが、昭和二十年に入り、ポンド・ガールが予感したように、目に見えて敗色を濃くしていく。
この時の様子を、「(中国大陸では軍人も含めて)誰も彼も戦争に飽きていたのだ、早く終わらせたかったのだ。どういうふうに収まるのかと、毎日、心の底の期待は消えたり、膨れ上がったり……」と述懐している。
その年8月に、天津で終戦を迎えたポンド・ガールに対して、アメリカ軍による取り調べが始まる。
「どうせ三尺高い木の上の最期(絞首刑)だ、傍若無人に英米仏ソをボロクソにいった……。だんだん話がすすめにつれて、私を宣教師と錯覚したらしい、調査書にもそのとおりに……。後でわかったことだが、このことが私の命を救うことになった。運勢は、転落の関頭に
続く・・・