書籍紹介

第3章 移り行く女性像 ⑤ 戦中期 045P

東洋の「ジャンヌダルク」や「ミス・サムライ」と呼ばれた、小松出身の永田美那子という女性が実在していた。

戦乱という背景があったにしろ、その強烈な性格と変幻波乱な生きざまは、まさに「女傑」と呼ぶにふさわしい。

女だてらに国家に身を捧げ、男装して馬にまたがり、戦場の中国大陸を縦横に駆けめぐった半生は、「小説よりも奇」としかいいようがない。

晩年、仏門に帰依して尼になり、自己弁護やフィクションを一行も書かなかったという、著書「女傑一代」を読むと、鏡に映る北陸の女性の「しとやか、控えめ、辛抱強い」というイメージを、まるでコナゴナに打ち砕くようであり、衝撃が走ると表現しても余りある。

昭和六年、永田は血書をしたためて志願し、女性ニュースキャスターとして、戦火の大陸へと旅立った。

その三年前までは、小松の旧家の呉服問屋の一男一女の母親であったが、当時でいえば「赤」思想者と誤解されて、警察に一ヵ月留置され、そ

続く・・・

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