第2章 石川の女性 ③ 金沢の特性 027P
知名度のある女流の一人ぐらいを輩出してもよさそうなもの……、とつねづね考えるのだが?
そんなことを思うと、「金沢人は文化的な見識が高い」というのも怪しい気がしないではない。
ストレートに言わせてもらえば、旦那(だんな)衆らが鼓、三味、謡、舞を上流階層のステータスだと上品ぶっていた時代の、よそ者のお世辞を、まともに受け取っているような気がするのである。
この地ではつい先ごろまで、年頃になった娘さんに熱心に習い事や稽古(けいこ)事をさせるならわしがあった。いわゆる「花嫁修業」というものである。
わざわざ勤めを辞めさせて、これに専念させる家が少なくなく、そうしないのは、ひそかに年金を狙って居座っている役所勤めのハイミスぐらいである。
その目的は、「芸を学ぶのでなく、作法を身につける」というもので、女としてのたしなみやしつけ、いわば結婚生活をするうえで必要な知識、知恵であり、
続く・・・