第1章 北陸の女性 ① 土地に根付いた人柄 004P
世の中には男と女がおり、人には表と裏の顔がある、そのトラブルに、思いがけない人の裏の顔を見ることがある。
いよいよ生活に窮したとき、北陸三県のそれぞれの人間性を巧みに表現した言葉で、「越中強盗に加賀乞食、越前の詐欺」というのがあるが、実に的を射ていると思う。
石川県人は、今なお加賀藩政の誇りと伝統を引きずっており、良きにしろ悪しきにしろそれに依存して生活しているようだ。
ご婦人方がつける語尾の「……わ」や「……まっし」にも、「この辺りは、そうでごさいますのよ」とよそ者に対して、どうも身分差をつけるような印象がある。
これに、うっかり相槌なんか打っていると、土蔵や桐箪笥(きりだんす)に収めてある家系図を持ち出し、家柄や格式がどうのこうのとやり出すのでないか?と、私なんかつい逃げの態勢に入ってしまう。
いつまでも上流婦人の衣装を着ていることに、プライドを抱いていたいのであろうか、いわば働くことより、芸ご
続く・・・